初秋の候、先生方には益々ご清祥にお過ごしのこととお慶び申し上げます。
さて、いよいよ第1回臨床肛門病研究会学術集会が開催される運びとなりました。
第1回は肛門科として最も多い疾患であり、かつ重要な疾患である痔核をテーマとして考えました。
痔核に対する根治的治療は結紮切除術が基本であることは変わりませんが、PPHやALTAに代表される新しい治療法により、近年、特に多様化が進んでいます。
一方、患者側からは、短期間で低侵襲かつ完治できる治療のニーズが高まっております。このためクリニックにおける日帰り手術が多く行なわれるようになり、入院を基本としている施設でも入院期間は短縮される傾向にあります。また肛門疾患を扱う医師は、複数の治療法の中から患者の多様なニーズにあった治療法を選択して適用する必要に迫られています。
最も基本的な手術である結紮切除術(以下LE)は、創閉鎖の程度、痔核組織の郭清度、肛門展開の方法など、多くのバリエーションを含んでおり、同じ術式名でも、諸家により様々な方法で行われています。
また本邦で行なわれるようになって5年目となるALTA療法は、低侵襲ながら高い治療効果が得られることが分かってきました。ALTA単独では完治が困難な症例に対しては、LEと併用される頻度が高くなっていますが、併用の方法も諸家により一様ではありません。
一方PPHは、当初予想されていたほど普及しているとは言えませんが、施設によっては、環状粘膜切除・直腸粘膜固定という独特な治療原理を生かしてALTAやLEとの適応の住み分けを行い、一定の頻度で施行されています。さらに、従来から行なわれている結紮法や、最近のレーザーを用いた方法、内視鏡を用いた方法など、各々の診療スタイルや経験に応じた様々な方法が実臨床で行われています。
各治療法を比較して優劣をつけることは困難ですが、痔核の程度や種類、患者のニーズ、診療スタイルなどに応じた治療法の選択や実際の実施手技については、大いに議論を深めたいところです。
会員各位が行われている痔核の治療について、多くの演題応募をお待ちしております。